
1.しじみの種類
一般的に私たちが「しじみ」と呼んでいるものには、細かく分けると3つの種類があります。それが以下の3つです。
・マシジミ
殻の内面が紫色なのが特徴ですが、殻の表面は黄褐色、緑、黒と成長するにつれて変化していきます。昔は河川の中流から上流の淡水で生息しており、日本各地で見られましたが、外来種のタイワンシジミが大量繁殖したことでマシジミの数は減りました。
・ヤマトシジミ
光沢のある黒色の殻で、殻の内面は淡紫色なのが特徴です。
河口付近や干潟などの汽水域に数多く生息しており、潮干狩りなどでも採取することができる非常にポピュラーなしじみです。
・セタシジミ
殻頂は黒褐色で殻の内面は紫色で、マシジミとヤマトシジミよりもやや小ぶりなのが特徴です。セタシジミが他のしじみと大きく違う点は、琵琶湖水系にしか生息していない固有種だということです。
同じしじみでも生息地が違うと、成長過程も違います。
2.種類別・しじみの成長過程
しじみの種類別に成長過程をご紹介します。
・マシシジミの成長過程
マシジミは春から秋に複数回産卵します。
雌雄同体ですので、体内には卵と精子の両方を持っています。
日の出後と日没前に産卵が行われ、受精卵は親貝の体内で保育し孵化します。
孵化するまでは20時間程度かかります。
孵化された幼生は、水温22℃前後の場合、およそ5日後に体外へ放出されます。
幼生は砂泥中に潜って生活し、1年で1.6cm程度、2年で2.5cm程度にまで成長します。
・ヤマトシジミの成長過程
ヤマトシジミは春から夏に産卵します。
マシジミとは違い雌雄異体です。産卵期の雄の内臓は黄白色となり、雌の内臓は灰黒色になるので、雄雌の識別が出来ます。
産卵から孵化までは約1日かかり、幼生は10日間ほど浮遊生活を行い、砂泥中に潜って生活します。植物プランクトン、有機混濁物などを食べて成長し、3年でおよそ2cm成長します。ただし、水温が12.5℃以下の場合は、成長が鈍くなります。
・セタシジミの成長過程
セタシジミは初夏から夏にかけて産卵します。
ヤマトシジミと同じ雌雄異体です。
水温が20℃以上ある場合、3~4日間かけて孵化します。
生後1年でおよそ1cm、2年で2cm成長します。
3.しじみを美味しく食べるには?
基本的にしじみは年中採ることが出来ますので、年中食べることが出来ます。
いつでも美味しく食べることは出来ますが、初夏の産卵に向けて栄養をたっぷりと蓄えていることから、しじみの旬は春だと考えられています。
また、市場に出回っている多くのしじみは、淡水域・汽水域に生息しているので、砂抜きは真水で十分なのですが、塩分が入った水で砂抜きをすると旨味成分のコハク酸が増加することがわかっていますので、より美味しく栄養をたくさん摂るためには、塩水で塩抜きをすると良いですよ。